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2012年7月20日 (金)

天国に結ぶ恋

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天国に結ぶ恋
柳 水巴 作詞林 純平 作曲
三沢あけみと東京エコーズ
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_-u_6_mx3yA

今宵名残りの 三日月も
消えて淋しき 相模灘
涙にうるむ 漁り火に
この世の恋の 儚さよ

あなたを他所に 嫁がせて
なんで生きよう 生きらりょか
僕も行きます 母様の
お傍へあなたの 手を取って

ふたりの恋は 清かった
神様だけが 御存知よ
死んで楽しい 天国で
あなたの妻に なりますわ

いまぞ楽しく 眠りゆく
五月青葉の 坂田山
愛の二人に ささやくは
やさしき波の 子守唄

《蛇足》 昭和7年(1932)5月9日朝、神奈川県大磯町、東海道本線大磯駅北の裏山で松露(しょうろ)というキノコ を探していた地元の若者が、若い男女の心中遺体を発見しました。
 男性は学生服に角帽、女性は藤色の和服姿で、裾が乱れぬよう両膝を紐で結んでいました。

 男性は東京の調所(ずしょ)男爵家の一族(甥)で、慶応大学経済学部3年の調所五郎(24歳)、女性は静岡県の素封家の三女・湯山八重子(22歳)でした。残っていた空き瓶から、猛毒の昇汞水(しょうこうすい)による自殺とわかりました。
 昇汞水は塩化第二水銀のことで、写真が趣味だった五郎が現像液を作るときに使っていたものでした。

 調所家に残されていた五郎の遺書やその前のいきさつから、八重子の両親から交際を反対されたのを悲観しての自殺とわかりました。下記がその遺書ですが、句読点に乱れがあるので、それを整理して掲載します。

 もし私が明六日になっても帰らなかったら、この世のものでないと思ってください。かずかずの御恩の万分の一もお返し出来なかった自分を残念に思ってゐます。御相談申し上げなかったのは八重子さんにわたくしを卑怯者と思はれたくなかったからです。そしてお父様にこの上御心配をかけたくなかったから。姉さんに約束した赤ちゃんの写真も撮らずに終ひました。
 梶原さんに頼まれた複写の原画は暗室の棚の下の段の右側に封筒に入れてあります。写真器は押し入れの中に乾板が六枚入ってゐるから自分でやって下さるように。ハレーション止めしてある乾板ですから。
 幸子を可愛がってやって下さい。本当の兄妹がもう宅に居らなくなってしまふから。
 湯山さんのお宅の方が見えたら八重子さんから戴いた手紙は全部纏めてありますから、見せるなり差しあげるなりしていただきたいものです。八重子さんにいただいたものも全て纏めて集めてあります。
 スエーターはお母さんが在り場所を知っていらっしゃるでせう。小さな押入れの三つの箱がさうです。写真はアルバムに貼ってあるのと、アグフアのクロモイゾールの箱に入れてあるので全部です。一緒のバンドで結へてあるのは皆さうです。先月の十七日以来心掛けて全部片付けて置きました。もう思残すことはありません。
 生みの母、懐かしいお母さんのお墓にお詣りして来ました。直ぐ傍にゐることが出来ませう。では皆さんさようなら。明日は早く起きなくっちゃなりません。

 七年五月五日夜更け 五郎

 2人の遺体は、その日のうちに海岸近くにある法善院の無縁墓地に仮埋葬されました。
 ところが翌朝、八重子の遺体だけが墓地から消えていることが判明、探索の結果、墓地から100メートルほど離れた船小屋の砂の中から全裸の遺体が発見されました。犯人は、近くの火葬場に勤める65歳の火葬人夫でした。
 検死後、警察は「遺体は純粋無垢の処女であった」と発表しました。この異例の発表には、双方の親の意向が働いていたといわれますが、真相はわかりません。

 2人が死んだ場所は、三菱財閥のオーナー家・岩崎家の所有地の一部で、小高い丘の上でした。地元では八郎山と呼ばれていましたが、取材した新聞記者が、そんな名前は悲恋にふさわしくないと考え、近くの地名をとって勝手に坂田山と名付けて記事にしました。
 その記事により、事件は「坂田山心中」として全国に知られ、人々の涙を誘いました。

  事件のわずか1ヶ月後、松竹映画『天国に結ぶ恋』が封切られ、大ヒットしました。その主題歌がこの歌です。
 事件のあと、1年ほどの間に同じような心中が続発し、その数は20件に及びました。そのなかには、映画館で『天国に結ぶ恋』を見ながら服毒心中したり、主題歌のレコードを聴きながら心中したカップルもいたといいます。

 柳水巴は西條八十の変名です。レコード会社から作詞の依頼があったとき、事件に便乗した際物ということで断ったそうですが、再三の要請を断り切れず、変名で作詞したと伝えられています。
 気の進まない作詞だったにもかかわらず、その詞はみごとで、結ばれない恋を美しく歌い上げています。この事件が、おぞましい後日談に汚されることなく、世紀の悲恋として全国に喧伝されたのは、この歌に依るところが大だったといってよいでしょう。

(二木紘三)
http://duarbo.air-nifty.com/songs/2007/09/post_1fb3.html

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